「CLUTCH」

CLUTCH

CLUTCH

木曜日の夜だったかな、このアルバムの収録曲をいくつか聴いてたらボロボロ泣けてきた。それは14日のライブを思い出して、というのもあるし、http://d.hatena.ne.jp/yama-chi/20050730の最後に書いたように千葉での学生時代を思い出して、というのもある。だけど、今回に限って言えば前者の方が強かったような。なぜかと言えば、学生の頃に思い入れが強かった“INNOCENCE”よりも“OCEAN”よりもライブで聴いた“LOOP”や“TENDER”の方が心臓を鷲掴みにされるような、でもとても優しい気持ちになれたから。
泣きながら声を詰まらせながら歌う木村さんの声はとても印象深いものだったけれど、6年前の音源で聴く木村さんの声もまた印象深い。それはとても透明で青い声だ、ということ。今までそれほど強くは思っていなかったけれど、こんなにも澄んでいてそれでいて独特の色のある声だったんだなぁ、と改めて思いました。そして、そんな声をもう聴けない(hurdy gurdyなど別形態での活動はあると思うのですが…)と思ったら哀しくて哀しくて。

…ついでなので千葉での学生時代にどんな思い入れをもってこのアルバムを聴いていたのか、書きます。
大学1年(1999年)の秋頃、たまたま木村世治のオールナイトニッポンを聞いてZEPPET STOREというバンドを知りました。ちょうどこのアルバムが出た頃だったので毎週“ANOTHER STORY”がかかって、結構好きな感じだなぁと思ってアルバムを借りてきたわけですが。ここでワタクシ、初めて歌詞を読んで泣く、という経験をしました。“INNOCENCE”という曲の中にこんな歌詞があるのですが、

何でもない事に挫折して
少しづつ自分が 嫌になって
孤独を選んで 閉ざして
淋しいだなんて・・・分かんないな

これが当時の自分にズバッと当てはまっていて、あまりの驚きで泣いてしまったのです。当時の自分は一日一日が全く面白くなかった。大学に行ったことを後悔していた。ずーっと悶々としていて、大学に友達なんて一人もいなくて、で、その状況にまた悶々として…という悪循環に完全にはまって抜け出せなくなっていた。そんなところに「分かんないな」なんて一見突き放すような言葉が飛び込んできて、そこに何故だかものすごい優しさを感じました。「分かんないな」と言って突き放しているのではなくて、なくて何だろう?上手く説明できないけど、その言葉は優しく響きました。
もう一曲、“OCEAN”という曲。これは椿屋でいうところの“十色の風”だと思うんですが、当時の木村さんが31歳(だったかな?)ということを考えると“十色の風・その後”みたいなところでしょうか。これも一人暮らしを初めて約半年の自分にグサグサ突き刺さってきました。

生まれ育った街並みが
優しすぎて ただ飛び出した
影を追いかけてた頃
夢なんてすぐつかめるんだと そう思ってた

6年前の私はこのアルバムに気持ちを代弁してもらっていました。大学生活は思っていたほど華やかで楽しいものじゃないし、きっと何か楽しいことがあるはずだ!と地元を飛び出してきたのになぁ…と鬱々と日々を過している、その気持ちを全部わかってもらえたような、そんな錯覚を抱かせてくれたのがこのアルバムでした。だから今でも聴くと辛い。辛いけど大切。


あー、やっぱり好きだなぁ。今夜もゼペットを聴きながら眠ろう。