12/18 名古屋クラブクアトロ

開場待ちの列で近くにいたお嬢さん方、そして会場内で隣にいたお嬢さん方達はこのツアーを椿屋とともに廻ってきたツワモノ達だったようで。思っていた以上に遠征組が多い(つまり地元民が少ない)会場内の空気。それが結果的にはいい結果を生んだとも言えるのだけれど、やっぱり地元の人間としては寂しいものもありました。「我が街に椿屋がやってきた!」的な盛り上がりがほしかったです、もうちょっと。まぁ、でも実際問題として地元民だけではとてもクアトロを埋められないんだから仕方ないですけど。

…と、いきなりこんな愚痴めいた話から始めてしまいましたが、楽しかったです。それはもう、楽しいひと時でした。「現実を忘れさせてくれる、夢の時間」の欠片が見えたような気がしました。

いつものことですが、セットリストも「何がどの曲の時に起こったか」ということも朧気にしか覚えていません。海馬がどうにかなってるのかもしれません。なので、セットリストなどをあっちやらこっちやらで見つつ書き進めます。

「終列車」のイントロでいきなり目の前にやってきた中田裕二に「アワアワ…」となって呆然としてしまいましたが、近すぎてかえって見づらいよ!…最前なんて過去1回(しかもZEPPだからそんなに近くない)しか行ったことがありませんので、距離感がつかめません。でも、あれ楽しいな。病み付きになりそうです。
冒頭の3曲が終わるまで、ずっとモヤモヤした気持ちが続いていました。第一声で何を言うか。それが気になって仕方がなかったのです。ずっとワンマンがなかった名古屋。それが全国ツアーの終盤になってやっと実現して、こちらの気持ちとしては「ずっと待ってたんだぞ、このやろー!」と言ってやりたいくらいのものがありましたが、果たして向こう側の思惑は?…でも、それは要らぬ心配でした。最初のMCでずっと待たせてしまった、といった意味の言葉を代表の口から聞いて、胸につかえていたもやもやが一気に晴れました。名古屋に対して冷たい、と思っていたのも全て被害妄想だったのか。こっちも待ってたけど、向こうも待っててくれたんだ、と。…楽天的すぎますか?

「プロローグ」「手付かずの世界」「朱い鳥」「砂の薔薇」この4曲は本当に穏やかな、楽しい気分で聴いていました。あー、良かったなー、名古屋に来てくれて良かったなー、と。ただ、「朱い鳥」の時に磔磔の演奏中断が頭をよぎってハラハラしましたが、この日は一度も演奏中断がなくて安心して見ていられました。それがまず1つ良かった。
そして「群青」「舌足らず」この辺りから自分で自分のテンションが制御できなくなってきて、年甲斐もなくはしゃいでしまいましたよ。いつもはつい周りの反応を見てしまって勢いに乗れなかったりしていたのが、この日は自分の気持ちに素直に動けました。今まで遠慮してたのがバカみたいだ。
それでね、えりつぃんさんがぜひ感想を聞きたい、と仰ってくれてるのであえて書きますけど、ここではもう1、2曲続けてくれてもよかったな、と思いました。せっかく会場が盛り上がってきていたのにもう「陽炎」行っちゃうの?と若干がっかりしました。あー、今この胸の内でふつふつと蠢いている情熱をどこへ向ければ!?と悶々としながらの「陽炎」でした。…いい印象を抱いていたみたいだったのに、ごめんなさいね。でも、これが正直な気持ちです。
でも、その後の「小春日和」はよかった。全然当日の気候と合ってなかったけど(笑)そして、ピックを舞台袖まで吹っ飛ばしてたけど(爆笑)
悶々とした気持ちをぶつけたのが「熱病」以降。自分でもちょっと可笑しくなるくらい盛り上がってました。色々たまってんのよ。
もう「お馴染みの」と言ってもいいでしょう、愛憎タイムでメンバーに水を吹きかける代表を見て「あれ、水かける相手変えたのか…」と油断した私は後で酷い目に遭うことになります(酷い目、って書き方が酷い)が、その時はただ単純に楽しい楽しい、とはしゃいでました。
でもやっぱりどう考えても今更「モリゾー」はないよ、やっちん。だけどやっちんがサポートで入ってきてから格段にライブが「楽しい」ものになったと思う。それは本当に感謝しているし、今後を期待してもいます。ただ、いつか正式メンバーになる時がきたら「楽しい」だけじゃすまされませんよ(ニヤリ)
衝撃の「しゃーちーほーこーフォー!!」で、私は夢を幻を見たのかと思いました。た、た、たかしげが…あああああ、やっちんナイス!(え?)
「螺旋階段」で頭のネジが全て飛んだんです、きっと。だって何も覚えていないもの。「踊れ踊れ踊れ、踊り子ー」イェーイ!…あれ、この流れ「スパイラール!」イェーイ!と一緒かも。いいぞ、いいぞ。「空中分解」に至っては、やったな、という記憶しかないです。
この後のMCで名古屋嬢ー、と会場に呼びかけたものの、完全に無視されてました。「全然受け入れらんねぇな」とぼやいて改めて「名古屋の恋人達!」と呼びかけたら、あらまぁ。
ブレイクの兆しの見えた曲、と前置きして「紫陽花」。「朱い鳥」でこちらがハラハラしたのとは逆に、この曲を歌う中田裕二はいつもより緊張しているように見えました。でもそれは、横浜公演で咳のせいで歌えなくなってしまったのがこの曲だ、という情報があったせいかもしれない。いずれにせよ、この曲に対してはとてもとても強い思いがあるのだなぁということが伝わってくる歌いぶりでした。

さて、この後ですよ。例の事件が起きたのは。
「君無しじゃいられない」
間奏のところでたかしげとやっちんが中央に寄っていったのを凝視していて、代表が完全に死角に入ってたんですよ。それで、妙に周りがワーキャー言うなー、なんて呑気な事を思っていたら、手に水が「垂れてきた」。「かかった」と言うより「垂れてきた」。もう一回書く。右手の甲に「垂れてきた」。咄嗟に小声で「うわっ」と言って手をブンブン振ってしまった私は完全に夢の世界から連れ戻されてます。でも、とりあえず水滴を払いのけてステージに目をやったら後ろを向いて腰を振って踊っている代表(これもこれで憎たらしかった。でも好きだ)の向こうでりょうちんが微笑んでいたのでまた夢の世界に帰れました。ありがとうりょうちん。この日はりょうちんが相当いい仕事をしていました。下ネタに走りかけた代表を間の抜けた音で落としてくれたり、ふと見ると満面の笑みでドラムを叩いていたり、りょうちんが椿屋のドラマーで良かった、と改めて感じた演舞でした。

本編ラストは「風の何処へ」。一瞬だけど、「嵐が丘」が聴きたかったなぁ、なんて思ってしまいました。どっちが好きか、と言われれば「嵐が丘」ですからね。「この嵐が過ぎる頃に再び目を覚まして」というフレーズが素晴らしいのです。

「初」ワンマンなのに沸き起こるもう一回コールに遠征組が多いことを確信。もしくは名古屋の恋人達がせっせと遠征している、ということか?(多分前者でしょう)ずーっと舞台袖を見続けていたら本日のMVPりょうちん登場。マイクスタンドの前を通る時に「名古屋ありがとう!」と。続いて登場したたかしげの「伝説の一言」を期待したものの適わず。そしてやっちん登場、となるわけですが、皆さん露骨ですねぇ。やっちん登場の時だけ歓声がぐっと少なくなってしまう。とは言ってもサポートと正式メンバーを同列に扱え、というのも難しいのでしょうが、あそこまで違うってのもなぁ…。もちろん、やっちん前に陣取った者の責任として熱い声援を送りました。
で、代表…が出てこない。こ、これは横浜の再現!?と思ったところで舞台袖から代表登場。しかし、真っ直ぐマイクスタンドへは向かわずやっちんからギターを取り上げ「歌え」と無言の指示。ここから後は「内緒」と言われたので内緒です。3日は思い出し笑いができそうなサプライズが起こりました。しかし代表。散々歌わせておいて「聴くに耐えない!」は酷いよ。お腹抱えて大笑いさせてもらったけど(結局書いてるし)。
今度はいつもの形に戻って「道づれ」。この時になって遂に後ろからググッと押されました。いいねいいね。
「かたはらに」で〆。その後のカーテンコールでもりょうちんがいい仕事してくれました。いきなりダッシュはいいですね。またやってみてくださいよ。

鳴り止まない拍手と入れ替わるように沸き起こる2回目の「もう一回コール」。代表がなぜかピンクのアイマスク着用で登場。この人は何がしたいのか、何になりたいのか本気で心配になりました。無事マイクスタンドに辿り着いてアイマスクを舞台袖に投げ捨て「クリスマス・イブ」を少しだけ弾き語り。この後長い長いMC(と小芝居)が続きます。
3年前の話をしたんですね。歌唱部・中田裕二と自らを名乗り文語調の歌を歌っていた頃のお話を。その当時を私は知らないし、ちょっとだけ歌ったあの曲も初めて聴くものでした。やっぱり今の方がいいよ。少なくとも代表の思い描くロックスターになるためには今の方が近道だと思う。昔の曲も確かに独特の色を持っていて、好きな人は好きになるだろうけれど、でもそれだけじゃ物足りないのでしょう。もっと多くの人に「好きだ」と言ってもらえる音楽を作りたい、そう決断した時に和装を脱ぎ捨て、徐々に文語調の歌詞が減っていった。良かったなぁ、そこに気付いてくれて。ずっと昔のスタイルのままだったら、私は椿屋四重奏という可笑しくて、でもとても真面目なちょっと古臭いロックバンドに出会うことはなかったと思う。私が初めて椿屋を見た2年前と代表の語る3年前には大きな隔たりがあるのだなぁ、と実感すると同時にこのバンドは結成以来ずっと激動の時を過していたんじゃないか、とも思いました。代表が頭の中で思い描いているバンド像と実際のバンド像が綺麗に重なった時、それはとても楽しみな瞬間でもあるのだけれど、そこでバンドが止まってしまうような気もして怖くもあります。…といったことをつらつらと思うきっかけとなる、濃いMCでした。
最後は「トワ」で。

待ってた、待ち望んだ、とは言っても私個人は何度となく上京して演舞を見ているわけで微妙なところもありました。でも、やはり自分が毎日を過している地で行われる演舞、というものは特別です。これこそが「日常の中の非日常」なのです。上京してライブを見る、となると「非日常の中の非日常」にどうしてもなってしまいますから。楽しいと思いながらも頭の隅っこでホテルへの道のりを考えていたり、翌日何時頃に変えるか考えているのが常だったのが、この日は何も考えずにただ目の前で起こることを楽しんで、楽しんで、堪能できました。来年も来てちょうだいよ、ホントに。

断片的に覚えている諸々のことは明日以降に書き足していきます。