あるキング/伊坂幸太郎

あるキング

あるキング

すごーく不思議なお話。
現実の中に突然非現実が入り込んできて、しかもそれがごく当たり前に共存している。
伊坂幸太郎の小説って、良く作り込まれたジグソーパズルみたいで、終盤に近づくにつれてそのピースがカチカチとはまり出すのが快感だったりするのですが、そういう意味では「らしくない」かなぁ、と思うわけです。最後まで読んでもパズルが完成しない、もしくはピースが余って積み上がったままになっているような。
だけど、読み終わった時の爽快感はいつも通り。たとえハッピーエンドじゃなくても「あぁ、いいお話だったなぁ」と満足して本を閉じられる。これこそが伊坂幸太郎の魅力なのかもしれない。