奥田英朗/東京物語

東京物語 (集英社文庫)

東京物語 (集英社文庫)

「T-FINE!」(3週目にしてようやく聞けた!)を聞きながらさらっと読破。
名古屋から上京した1人の青年の10年間を描いた作品なのですが、10年間が連続して書かれているのではなくて、時間軸を行きつ戻りつしながら、しかも描かれない時期もありながら話が進行していきます。でも、それがかえって面白い。読む側に想像する余地を与えてくれます。

何といいますか…身につまされるなぁ、これ(苦笑)
主人公は名古屋という町を嫌って、絶対に帰るものかと東京で奮闘を続けていくわけですが、その気持ちわかる。わかるんだけど、私はそうやってやっていけなかった…とこっちに帰ってきてから度々襲われる後悔の波がまた、やってくるのです。やっぱり東京はいいなぁ、ここは田舎だなぁ…と。
途中で登場する同じく名古屋出身の女性も自分の故郷を嫌っていました。結婚、結婚ってうるさい!と。…わかるよ(泣)
私もこの夏には26歳になる身ですので、周りも放っておいてはくれなくなってきたわけですよ。おばあちゃんなんて特にそう。引越しで出てきたお鍋や食器を「これ、あんたが結婚する時に持っていけばいいでね」と…小説にも同じようなくだりがあって、どこも一緒か、と愕然としました。あのー、私の友達も誰も結婚してないんですけど…(これはこれで珍しいらしい)
…まだお見合いの話とか持ってこないだけマシと思おう。そうしよう。


随所に「おっ!」と思う台詞があって、いちいち泣けてきます(心の中で)
あー、本当にどうするか考えないとなぁ…もう26歳だ。