遠くて近い、近くて遠い

「BEAUTIFUL」を初めて聴いた時に感じたあのどうしようもない距離感を、今はあまり感じなくなっています。
イエローモンキーの吉井和哉は夢の世界を歌う別世界の人で、ソロアーティストの吉井和哉は現実の世界を歌う、でも別世界の人だと感じていた。そしてそれをとても寂しいことだと思い、悲しかった。
だけど今、「39108」を聴いて吉井和哉という人をとても近く感じられる。もちろん手の届かない存在であることに違いはないのだけれど、「あぁ、彼も同じ人間なんだな」ということを強く感じる。今まで遠い世界の絵空事のように響いていた言葉が、自分の身に置き換えうる言葉として迫ってくる、そんなアルバム。


真夜中にヘッドフォンで「LIVING TIME」を聴きながら
この手でよかったら いつだって掴まれ
今日も君のことを 愛してるよ

の部分でマジ泣きした私はどうかしてるんだと思います。どうもすいません。
そして、「WEEKENDER」「ALL BY LOVE」でテンションが上がってるんだか下がってるんだかわからないまま、心中穏やかでない状態になってしまうのも、アルバム最後の「BELIEVE」で「花吹雪」を聴いた時のような切ないけれど温かい気持ちで満たされてしまうのも、そして何なら「LIVING TIME」の件も吉井和哉が悪いんだと思います(いきなり責任転嫁)

今までこういう聴き方はしていなかったんですけどね。何だかこのアルバムはすごく近くで鳴らされている音、発せられている言葉という感じがします。
でも、やっぱり遠い人だよね。だけどそれがちっとも寂しくない。不思議な気持ちです。