奥田英朗/邪魔

邪魔(上) (講談社文庫)邪魔(下) (講談社文庫)

上巻は時間をかけてダラダラと読んでいたのですが、下巻に入ってからの怒濤の展開にやられました。結末が気になって寝れやしない。
そしてザクザクと読み進めていって、さてクライマックス!というところでの思いかけない一行にズバッと斬られて思わず号泣(涙腺が壊れてるんですかね)。いやー、面白かった。正直なところ「えっ、これで終わり?」という感じもなくはないのですが。

放火の容疑をかけられた夫と子供を守るため自らが道を踏み外していく主婦と、過去に負った心の痛手から逃れられずにいる刑事を中心に展開する物語。
この刑事が哀しいんですよね。交通事故で亡くなった奥さんのお母さん(つまり義母)を本当の母親のように労わり、大事にしている様子はとても微笑ましいのですが、どうもところどころで不可解な部分があるわけです。まぁ、それが下巻での怒濤の展開の一端を担っているので、うまーく伏線が引いてあるってことですよね。
一方の主婦の方は…突然変わりすぎ?ってところもありますが、パートと正社員の関係とか色々自分に置き換えて考えさせられました。ね、本当にパートと正社員の違いって何だろうね(これ以上は愚痴になるのでやめます)
最後は無茶しすぎですよね、いくらなんでも。あれで急にこの物語が絵空事になってしまった気がします。最後まで淡々と進んでいったら…それじゃ面白くないか。

結構な長編(上巻414ページ、下巻383ページ)でしたが、長さを感じさせない面白さ。しばらくこの人の作品を読み漁っていきます。