四十でがんになってから/岸本葉子

四十でがんになってから

四十でがんになってから

私の二人の祖母とも消化器系のがんになりました。
母方の祖母は約20年前に腸(当時まだ子供だったので詳しいことはわかりません)にがんが見つかったものの、早期治療の甲斐あって今も元気に生きています。母親に「おばあちゃん、がんなんだよ」と聞かされても全く実感がなくて、お見舞いに行っても元気だし、退院したら元通り美味しいもの食べてコロコロ太ったままだし、がんって別に怖い病気じゃないんじゃない?と幼心に思っていました。まぁ、手術前後はお見舞いに同行させてもらえなかったので、大変な時期を見ていないだけなんでしょうけど。
一方、父方の祖母は5年前に胃にがんが見つかり、それから1年ほどで亡くなりました。この時はがんという病の恐ろしさを垣間見た気がしました。私も仕事を持つ身になり、また車でないと行けない場所だったのでお見舞いにもほとんど行けなかったのですが、ガリガリに痩せた祖母を見た時は正直に言ってしまうと「怖かった」。母方の祖母とは違って元々瘠せ形の人ではあったけれども、あんまりにも。さらに良くなかったのは、父方の祖母の場合は発見が遅かったんですね。それプラス高齢ということもあってどんどん衰弱していって、結果としてがんで亡くなってしまった。お葬式の時にさらに痩せこけた祖母の顔を見て、お葬式というもの自体が初めてだったせいもあるけれど、号泣してしまいました。

この本の著者は四十歳というあまりにも若い年齢でがんになり、その後も長く続く(はずの)人生をがんとともに生きていく、というテーマを背負うことになりました。それについての覚悟や、またそう思うに至るまでの過程が書かれているのですが、母方の祖母もこんなことを考えたのだろうか?…あれ、そもそも本人に告知してあるのかな?それまで通りに好きな物をパクパク食べている様子からすると多分良性のポリープだった、とか何とか言われているんでしょうね。まぁ、それもいいですよね。美味しいものを食べるのが大好きな人だから。あれ食べちゃダメ、これ食べちゃダメ、じゃ可哀想。なんせ本来なら油ものを控えなければいけない(胆のうが悪いからです。これは本人も承知している)のに、数年前までロースカツにマヨネーズたっぷりのポテトサラダを食べてましたから。去年の誕生日にお寿司を買って持って行ったら大喜びでトロ食べましたから。おばあちゃん、白身食べてー!!(笑)本人いわく、歯が悪いからトロみたいな柔らかいものしか食べられないらしいですけどね。
…話がそれました。そう、若くしてがんになるということ。しかも独身・ひとり暮らしの身で。私はがんになるかどうかわからないけど、四十で独身・ひとり暮らしというのは大いにあり得る話なので(泣)今から考えておくのも悪くはないのかなぁ、と。がん、という具体的な病気を軸に考える必要はないけれど、このままひとりで生きていくとして入院を必要とするような病気になったらどうする?入院するには手術するには保証人とやらが必要らしいけど、誰に頼むの?そもそも仕事は?などなど。三十路が目の前に(ってこともないか)迫ってきている今日この頃、そろそろ真面目に考えてもいいんじゃないかな、と思いました。
とりあえずは今の環境に慣れることですね。コロコロ転職&引っ越ししないで(苦笑)