悼む人/天童荒太

悼む人

悼む人

正直なところ、「永遠の仔」ほどの感動はなかった。
あの息苦しくなる程の感動はもう二度と味わえないのかもしれない。でも、それならそれでいい気もする。
日が暮れて、部屋の中が暗くなっていくのも構わずに嗚咽を漏らしながら小説を読む、なんていう体験は一度きりだからこそ意味があるのかもしれない。