2010/07/16 熱視線8「KICK START MY HEART」@名古屋E.L.L.

FC先行で申し込んでいたチケットが手元に届き、そこに書かれた整理番号を目にした瞬間のことを私はきっと忘れない。そして、その幸運を目いっぱいに享受したこの夜のことも、きっと。


バスに揺られて名古屋へ。炎天下の中、栄のど真ん中に放り出されて行くあてもなく、ひとまず地下街へ避難。実は名古屋の地理に詳しくないので右往左往した挙句に結局は早々に会場最寄りの大須観音駅へ移動。ようやく昼食にありついて一息ついてまたウロウロ。若干雲行きが怪しくなる中伏見の方まで歩いて行ったり(それができる程度には地理がわかる)戻ってきたりでようやく程よい時間に。何せ今日の整理番号では会場に入ってからロッカーへ…なんて悠長なことは言っていられないので駅のロッカーに荷物を押し込んで会場前へ。ギリギリまでリハーサルをやっているのか、スタッフの方が出入りする度に音が漏れ聞こえてくる。チケットと500円玉を握りしめてその時を待つ。ただただ待つ。気持ち悪くなりながらも待つ。待つくらいしかやることがないから待つ。


で、入場。誰もいないフロアへ。


整理番号を知った時に心に決めた場所に一直線に歩み寄って場所を確保。今日はもうドリンクもいらない、物販も見ない、背が高いことも気にしない。目の前にある光景にひたすら見入って、緊張のあまり気持ち悪くなりながら今度は開演の時を待つ。
左右、後ろとどんどん人が入ってきて、でも私の視界を遮るものが何もないこの幸福感!女性多めなライブだと視界が開けていることも多々あるのですが、やっぱり人さまの頭越しに見るのとは違う。あああ、でも緊張感に耐えきれないよ…うぇぇぇぇぇ。


ざっくり端折って(というかこの間ただ黙りこくってステージを見てただけです)いざ開演。ステージ脇の薄暗がりの中にりょうちんのシルエットが見えた気がして手を叩いたら…あれ、誰も反応しない。もしかしてうっかり…ってやっぱりりょうちんでした。というわけで改めて拍手で迎える。続けてたかしげが出てきて、手島さんも登場。この後ガッツリ見入りますが、この時点ではそれどころではないのです。だってほらこの後に中田くんが出てくるじゃない…出てきたー!!薄紫のカットソーに黒いテロンとしたロングカーディガン。変な衣装でなくて良かった…と思う余裕すらなかった。だって、目の前に、中田くんが!!!!

別に最前列が初めてってわけではないんです。だけどあの位置は初めて。そしてきっとこれで最後。何もかもを目に焼き付けようと集中力を研ぎ澄ませたところに聴こえてきたイントロは「不時着」
もーう、まさかまさかの選曲でした。全っ然予想してなかった1曲目。「孤独」という言葉を唄う中田くんを、「ここがどこであろうと僕はかまわない」と唄う中田くんにただただ見惚れていた。イントロを聴いた時には意外に思ったけれど、今の椿屋を表すのにこれほど適した曲はないよね、と心の中で深ーく頷く。

すいません、何か色々思ったはずなのに記憶がぼやけていてMCのタイミングとか内容が思い出せません。いや、いつものことなんですけど、いつも以上に。なのでモバイルサイトで公開されているセットリストを横目に見ながら無理やり記憶を引きずりだしてきます。


えっと、この後が「手つかずの世界」「舌足らず」か…そうそう、ここでやっと中田くん以外のメンバーを見る余裕が出てきたな。りょうちんは中田くんがちょっと横に動けばズドーンと見えるし、手島さんも楽に視界に入る感じ。だけどたかしげは見えにくかったなぁ…珍しくネックレスなんてしてたのは見えたけど。
そう、手島さん。音霊で見た時の印象からするとアコースティックは似合うけど、バンドではどうだろう?と少し不安だった。そもそも立ってエレキを弾いてる姿すら想像できなかったから。だけど、その不安は見事に裏切られました。もちろんいい意味で。「あれ、これはあの時のあの人と同じ人?」ってくらいに印象が違った。ざっくり開いたVネックに涼しげな風合いのジャケットを着てる姿はやっぱり中田くんやたかしげと同級生には見えない(ずっと大人びて見える)けど、それでも音霊での印象よりはグッと若く見えた。しかも「手つかずの世界」とか「舌足らず」みたいなベッタベタの椿屋色の曲も違和感なくサラッと弾きこなしちゃうんだよね。あの、本当に今日が椿屋としての初ステージなんですよね、と問いただしたくなるほどの馴染みっぷりでした。
あとね、「舌足らず」やっぱり好きだなぁ。中田くんがクッと腰を落としてギターを弾く瞬間を目の前で見た日にゃあテンションも天井知らずに上がっていきますよ。あの瞬間は何回見てもどの位置から見ても一気に体温が上がる。意識を持っていかれる。


ギターを下して、ハンドマイクに持ち替えた中田くんの後ろからあのドラムが聴こえた時にもぐわっと視界が揺らいだ気がした。現実と非現実の狭間を行きつ戻りつするような感覚。数時間前に歩いた栄の地下街も、数時間後には帰りついているであろう実家も、今この瞬間にはむしろそちらが非現実。今この瞬間に目の前で起こっていることだけが形も手触りも熱もある現実なんだ。
「いばらのみちだって味方はつけないよ」「いばらのみちだって助けは呼ばないよ」…まるで中田くん自身を表したかのようなこの歌詞が聴くたびに突き刺さってくる。「音楽と人」のインタビューで「ロックって本来は孤独な表現であるべきじゃないかなって思う」と語っていた中田くんの言葉に涙目になりながら同意してしまったんですが、本っ当にそうだと思う。少なくとも私はそういうものだと思ってる。孤独な表現だから、孤独と向き合った末に出てくる表現だから、だからこそ孤独を埋めてくれる。だけどそれは繋がりを求めているわけじゃなくて、あくまで「自分の」孤独を埋めてくれるだけのもの。孤独と孤独が手を繋いでこれでもう私たち孤独じゃないね、って目を合わせて頷きあいたいんじゃない。孤独は孤独のままでそこにあり続けるけれど、孤独なのは誰が悪いのでもなくそこに確かにある現実に過ぎないのだというその事実がわかればそれでいい。受け止めた孤独を自分のためだけに解釈して飲み込んで、それでいい。味方はいらない。助けも呼ばない。孤独の中でやたらめったらにもがいて溺れそうになっていた「かわいそうなわたし」にさよなら出来る、そのきっかけさえ与えてくれればそれでいい。孤独の中に飲み込まれずに、孤独を飲み込んで歩いていけるようになれば、いい。それがただの思い込みだって構わない。だって人はどうせ孤独なのだから。自分の物語から完全に外れることはできないし、他人の物語に完全に同調することもできないのだから。それぞれの持つ円が完全に重ならない限り、人はどこかで孤独なんだ。
で、大いなる勘違いを承知で言ってしまえば「私のためだけの物語/音楽」それがロックだと思ってる。あの日見上げていたステージから聴こえたそれは、間違いなくロックだった。ロックという呼び名に違和感があるのならば、孤独を鳴らす音楽。それを私は私の物語の中で勝手に受け止めて自分のものにしていく。孤独と一緒に飲み込んでやるんだ。

…わわわ、思いっきり脱線してる。しかも何が言いたいんだかわからんぞ、これ。
とにかくね、初のドラマ主題歌ということを差し引いて考えても「いばらのみち」は椿屋四重奏の代表曲になると思う。こんなにも孤独で、でもしっかりと自分の足で立って誰にも寄りかかっていない歌、他の誰が唄えるの?(はい、ファンの贔屓目出ましたー)


この後「I SHADOW」「トーキョー・イミテーション」と耳がやっちんの音で記憶している曲が続いたけれど、不思議なほど寂しくは思わなかった。その時は。驚くほどにハマる手島さんのギターと気持ちよさそうに唄って曲の世界を演じる中田くんだけで完全に満足してしまっていた。本当に本当に申し訳ないんだけど、やっちんのことを考えてすらなかったかもしれない。そりゃあ「トーキョー・イミテーション」のあのイントロを聴けば脳裏に浮かぶのはやっちんの姿なんだけど、それをスッと塗り替えられてしまった。とてもさり気なく。憎らしいほどにさり気なく。
緊張している素振りも見せずに淡々と、でも確実に弾きこなしていく手島さんがとても不思議だった。初めて見るはずなのにずっと前から見ているような気がしていた。中田くんの横でギターを弾く姿を。


ライブ中はその違和感の無さが嬉しくて頼もしくて、ああ良いギタリストが見つかって良かったなぁと単純に思ってた。だけど、後から後から複雑な感情が湧いてきてしまった。何でこれが今まで出来なかったんだろう。何で今までこういう椿屋が見られなかったんだろう。中田くんがあんなに笑って気持ちよさそうに唄ってることって最近あったっけ、と思ってしまった。やっちんが悪いなんてこれっぽっちも思ってない。だけど、そういう結論に辿りついてしまいそうな沢山の「何で」「どうして」が止まらなかった。違うよ、違うんだ。やっちんがいた5年間にだって中田くんはいっぱい笑ってたし、いいライブだって何回も見てきた。だけど去年1年くらいずっとモヤモヤしていた何かが、CARNIVALツアーでかなり晴れたとは言え完全にはなくなっていなかったような何かが、綺麗さっぱり消えちゃったんだ。あっけなく消えてしまったんだよ。もしかしたら今がちょうどその時だったというだけの話かもしれない。だけど、ちょうどその時にステージに立っていたのは今までとは違う形の椿屋四重奏だったんだ。時のせいか、形のせいか、その狭間でグルグルしてしまった。AXでの熱視線を見てほとんど迷いはなくなったけど、まだちょっと迷ってる。早くここから抜け出したい。文句なく格好いいやっちんを早く見たい。


…脱線が止まらないな。


「孤独のカンパネラを鳴らせ」収録曲がまだまだ頭に入っていない(USTを1回見たきり)ので、「LOOK AROUND」を聴いて「あれ、これロンサムだっけ?」とか思っててすみません。タイトルこそ覚えてなかったけど、この曲の清々しい解放感は耳が覚えていた。視界が一気に広がって心地よい風が吹き込んでくるような爽快感。「プロローグ」で見ていた未来とは違う現在から見る、更にその先の未来。フェス会場で聴いたら気持ちいいだろうなぁ。
そんな開けた世界から突如引きこもってしまったような「moonlight」「陽炎」。えっ、そういう曲じゃないだろって?いや、決して否定的な意味で言ってるんじゃなくて、意識の方向が外か内かってことですよ。この落差がまた気持ちいい。ここぞとばかりに中田くんをガン見しておきました(でも目が合うのが怖くて鼻から上は見れない小心者です)
この日、実家に帰ってから「最前列がいかにステージと近いか」ということを母(吉井さんのライブによく行くので最前列の価値はわかる)に説明していて一番伝わったのが「靴音が聞こえる」でした。本当に聞こえた。もちろん曲間の静かな時限定だけど、後ろに水を取りに行って戻ってくる時のコツコツコツという靴の音(また中田くんが革靴履いてるから余計に響くんだよね)が聞こえるんですよ、ハッキリと。気付いた時にはかなり興奮しました。うわわわわわ近いー!って(笑)後ろの人と柵(E.L.L.の柵は上のポールだけなので足元は楽)との間に挟まれてウェーッってなっててもその音で復活してたもんね!(お前バカだろ、やっぱり)
だけどあれだなー、椿屋のファンは女の子が多いし大人しいからウェーッで済むけど、9mmであの位置にいたとしたら内臓の1つや2つ出ちゃうよね。


この後の「小春日和」は過去最高に幸せな「小春日和」だった。この時になってもやっちんがいない寂しさを微塵も感じてなかった私には最前列の魔法がかかっていたとしか思えません。そうでないとやっちんに申し訳が立たないよ…(グスグス)
だけどね、やっぱり中田くんのあの笑顔見ちゃったら仕方ないよな、とも思うのです。歌が途切れたところでさらっと「名古屋ー」と言いながら満面の笑みを浮かべていたんだよね。たかしげの方に行きかけてた時だったから真正面から見れたわけではないけど、斜め横顔で見ても満面の笑みだった。くしゃーっとした無防備な笑顔だった。ああ、じゃあ他の4人はどうなんだろうって思って見回したら全員ニコニコしてるんだよね。まぁりょうちんはいつも笑顔(もしくはどや顔)だけどね。たかしげもこの曲の時は微笑んでいるけどね。YANCYさんは…もうあの方はそういうお方ですから(扱いが違う)。そして手島さんもニコニコとまでは行かないけどうっすら笑顔だった。何この余裕は!ってまた憎らしくなっちゃうんだけど(笑)でも、やっぱり笑顔はいいよ。「娼婦と淑女」でも紅子がしきりに言ってたじゃない「笑っていれば何とかなる」って。そういうことなんですよ、ね。


中田スマイル(今作った)にメロメロにされたところに「一刹那」のイントロが聴こえてきたら、もう…「どうにでもしてください!」って感じですよね。初期椿屋のドロドロと和を象徴するような曲。あ、今思い返して気付いたけど、今までこうやって初期の曲をやると当時の中田くんを思い出してたんですよね。それこそ白シャツ短髪時代とか。だけど今回の熱視線ではそれが全くなかったなぁ。どんな曲をやってもぶれずに今の中田くんがそこにいた。それを更に思い知らされたのがこの後の「群青」から「ミス・アンダースタンド」の流れだな。インディーデビュー盤の1曲目と最新曲。それが何の摩擦もなくスルッと繋がってしまう。ずっと繋がっている核のようなものが確かにあるからこそ、でしょうね。明暗、緩急、そして時代(曲世界のね)も軽々と行き来できるところが椿屋の最大の魅力だし武器だ、と改めて思う。似たような曲って本当にないもんなぁ。椿屋と別のバンドもそうだし、いつかの椿屋と今の椿屋ってことでも。そしてそれをどちらも弾けてしまう手島さんってやっぱりもの凄いよな…


コツコツと靴音を響かせて、ちょこんと座りこんだ中田くんが可愛かった…です、本当に。ステージが少し高くなっていることもあって、立っていれば大きく見えていた(何か失礼な言い方ですね、すみません)けど、ああやって座るとやっぱり小柄。華奢。何をしているのかと思えば靴ひもを結びなおして…ってそれがまた1回で上手く出来ないとか何なんですか、あなた!可愛いーとか思っちゃうでしょ!ああああ、もうどうしてくれる!(まず落ち着け)
ようやく足元も整って「僕の後に続いて唄ってくださーい」とか何とか(何とか、って…)言ってお馴染みのコール&レスポンス(とは違うか?)。難易度上がり過ぎてて脱落しました。というか元々脱落してました。ええ、音痴です。だけど他に沢山唄の上手な方がいらっしゃったので中田くんから「うまいっ!」とお褒めの言葉をいただきましたよ…すぐ後ろにいた女性とかめちゃくちゃ上手かったもんなぁ…いいなぁ唄が上手かったり楽器が弾けるのって…はぁー(数秒落ち込んできます)

はい、復活ー。「ワン、ツー、熱病!」とえらく格好いい入り方で「熱病」あああ、いいなぁこういう曲。そしてまた中田くんが気持ちよさそうに伸びやかに唄うこと!多分きっと気持ち悪いくらいニコニコニタニタしてたと思います。ごめんなさい(主にりょうちんに謝りたい)
この次が「思惑と罠」だったのか…完全に記憶飛んでる…その次の「サイレンス」のせいにしちゃえ!
いっつも間奏でしゃがみこんだ瞬間に視界から消える中田裕二が目の前に!もうそれだけで十分です。ありがとうございました。しかもいつもみたいな野獣みたいな叫びじゃなくて「あああーーーーー」(文字じゃ伝わらない!)ってちょっと気だるい感じで呻いて気の抜けたヤンキー座りでしゃがんでうな垂れたりしたら…また可愛いなぁとか思っちゃうじゃない!可愛い曲じゃないの、これは!「幻惑」リリース直後のRUSH BALL(のプレイベント)でアイメイクを施した目でどこでもないどこかを睨みつけていたあの表情を見てから「サイレンス」がどうしようもなく好きになってしまったんだから、そんな可愛い(でもやさぐれてる)感じでしゃがまれても困るわけですよ!中田くんが下向いてるのをいいことに凝視してましたけど!(結局そうなんじゃん)
…「サイレンス」がまたさらに好きになってしまいました。でも、「ミス・アンダースタンド」がこのポジションに来そうな感じもするんですよね。今回初めてライブで聴いてみてそう思った。「返事もらえてよかったね」ですっげー憎たらしい顔して目をむくところとかね、結構、いやかなり好きです。演じる中田裕二を堪能できる曲として同じ匂いがする。


手島さんの紹介が入ったのはここですね。中学の同級生であること、学校一のワルと変人が集まったクラス(3年9組)の変人同士だったこと、それまではギターに自信のあった中田くんがこいつには叶わないと思った相手が手島さんだったこと、それぞれ別の道に進んで中田くんは東京で大人気バンド(だったっけ?)椿屋四重奏を結成、手島さんは楽器屋さんで働いたりフランスにギターの勉強に行ったりしてジャズギタリストとして活動していたこと、やっちんが(とは明言しなかったけど)抜けてギタリストを探すとなった時にずっと手島さんが頭にあったこと、そんなことを時々笑いを交えながら、だけど丁寧に説明してくれました。最初、エロマスターXとか言い出した時はどうしてくれようかと思ったけど(苦笑)
中田くんの口から語られてびっくりしたのが練習期間が2ヶ月だったってこと。たったそれだけの期間でここまで…と本当に本当にびっくりしました。京陵中学(こんな字だっけ?)すげぇな。一学年でプロのミュージシャンが少なくとも3人いるって!
形としては同級生バンドみたいになっちゃったけど(この辺りは中田くんもAXで話してましたね)、ずっと一緒にやってきた仲間ってわけでもなくて。たかしげは大学生の時に、手島さんは20代の終わりに中田くんに呼び寄せられて椿屋にやってきた。それって寧ろずっと一緒にやってくるよりも凄いことかもしれないよね。うーん…

そして、「そんなジャズをやっていた彼とジャジーなこの曲を」と前置きして始まった「恋わずらい」が素晴らしくないわけがない!これは手島さんの第一印象通りにバッチリとハマってました。あ、「共犯」もハマるだろうなー。次のツアーでは是非是非。


その後は「CRAZY ABOUT YOU」あんまり可愛い可愛い言ってもあれだけど「CRAZY ABOUT YOU」でちょっといじけるところ可愛いよね(結局言ってるし!)
そして「螺旋階段」の〆で事件は起こったわけですよ。いつも通り(なだけでも凄いんだけど、本当は)楽しく踊って揺れて、アウトロをちょっと長めに叩くりょうちんに更なる盛り上がりを感じて。さぁ、ここでキメ…りょうちん、こけた!!!!!
嘘みたい…とこみ上げる笑いを堪えることもなくゲラゲラと笑いながらみんなでりょうちんに大注目。あちゃーやっちゃったよーみたいな顔して「もう一回、もう一回」とねだりするりょうちんにまた爆笑。仕切りなおしてバッチリ決まりました(ってこれ仕込みだったんだねー。完っ全に騙されてました。りょうちん演技上手いよ!)


半ば呆然としながらアンコールを求めてみる。全くダレなかった本編。かなり満足してはいたけれど、まだあの曲もあるよね、その曲もあるよね、と思う一方で「君無しじゃいられない」はやらないかもな…と思ってもいた。編集長のライブレポのこともあったし、単純に無くても行けそうな気がした。他に同レベルの盛り上がりを生み出せる曲がいくつもあるから。後はそれをやってみるかどうかの問題だと思ってた。


カーディガンを脱いで出てきた中田くんのカットソーは見事に汗で変色していて、薄紫が濃い紫に。苦し紛れに「汗ジミデザインです…」とか言ってたけど、それにしても汗っかきだよなー。私も人のこと言えないけど。汗かきはああいう色着ちゃ駄目なんだよ。悲劇が起こるから(笑)
そんな悲劇的ないでたちであっても「紫陽花」は美しく響く。少し季節は過ぎてしまったけど、この曲を聴くといつでも6月のあの空気を思い出せる。あの年の6月(まぁ九段心中の時ですわね)を思い出せる。これからもずっとずっと唄っていってほしい曲だなぁ。

その後はガラッと空気が変わって「LOVE CREATURES」ああああ、楽しい!この曲楽しい!妖しいのに楽しい!それにしても…それ、スカート押さえてるポーズじゃないよ!(笑)


最後は「幻惑」ここに来てやっと(遂に?)やっちんのことを思った。4人になって初めてのシングルだった「幻惑」。それまでの椿屋とはかなり印象の違う曲で、それはやっちんが入ったことによる変化だと受け止めていた。だけど今、また違う4人で「幻惑」を鳴らしている。でも…でも堪らなく格好いいんだから困っちゃうよね。悲しい寂しいはずなのに、嬉しいんだ。椿屋四重奏がいてくれることが、格好いい音を鳴らしてくれていることが。困るよね。


ほっと安心したような表情を浮かべた手島さんと目を合わせて笑いながら頷いたりょうちんはさっきとは一変してバンドのお兄さんの顔をしていた。年上が一人だけになっちゃったけど、うっかりだけど、声高いけど(関係ない)、中田くんにいじられまくりだけど、だけどみんなに愛されるお兄さんな、そんなりょうちんでいて欲しいなぁ、これからもずっと。
それとね、最後の最後に見せたこの表情で手島さんも相当緊張してたんだなぁってことが伝わってきた。当たり前だよね、そりゃ緊張するよね。だけどたかしげ以上にポーカーフェイスだからわからなかったよ。ふっと緩めたその顔を見てやっとわかった。これから椿屋四重奏を宜しくお願いします。そんな気持ちでステージ前方に並んで出てきた5人を、手島さんを見ていた。


全てが終わって呆然とステージを見ていた。チケットを手にした日からの色んな想像や思いを軽々と飛び越えていったライブ。そこにいたのはいつもよりずっと近くに見える中田くんとりょうちんとたかしげとYANCYさんと。そして初めてなのに初めてな気がしない手島さんだった。何でこんなにも悲しくないのか、寂しくないのか。そんなことを不思議に思うことすらしないで、ただただ満たされた気持ちでいた。新生椿屋四重奏はいいなぁ、大好きだなぁって気持ちでいっぱいだった。


…だった、じゃないな。
新生椿屋四重奏はいい。大好きです。